その他の疾患
その他の疾患

呼吸器内科では、気管支や肺に関連するさまざまな病気を診断・治療します。ここでは代表的な疾患についてご紹介いたします。
間質性肺炎は、肺の中で酸素を取り込む働きを担う「間質」と呼ばれる部分に炎症や線維化(硬くなる変化)が起こる病気です。炎症が続くと肺が徐々に硬くなり、酸素を取り込みにくくなって呼吸困難が進行します。
原因はさまざまで、膠原病などの自己免疫疾患に伴うもの、薬剤によるもの、原因不明の「特発性肺線維症(IPF)」などがあります。症状としては、乾いた咳や動いたときの息切れが代表的です。
診断には胸部CT検査や肺機能検査、血液検査を組み合わせて行い、必要に応じて気管支鏡や肺生検を行うこともあります。治療は病型により異なりますが、抗線維化薬、免疫抑制薬、ステロイド薬などを用います。進行を完全に止めることは難しいため、早期発見と継続的な治療が大切です。
肺炎や気管支炎は、細菌やウイルスが呼吸器に感染して起こる病気です。
気管支炎は気管支の炎症で、咳や痰、発熱を伴います。多くはウイルス感染が原因で、安静や対症療法で回復しますが、細菌感染が加わると抗菌薬が必要です。
肺炎は肺胞にまで炎症が及んだ状態で、高熱、強い咳、膿のような痰、呼吸困難を引き起こします。高齢者や基礎疾患を持つ方では重症化しやすく、早期診断・早期治療が重要です。
診断には胸部X線やCT、血液検査、喀痰検査を行います。治療は抗菌薬や解熱鎮痛薬、点滴などが中心となります。また、ワクチン(肺炎球菌ワクチンやインフルエンザワクチン)で予防できる部分も大きいため、予防接種も重要な対策です。
肺がんは日本で最も死亡者数の多いがんであり、喫煙との関連が強いことが知られています。近年は非喫煙者の女性にも発症が増えており、生活習慣や遺伝的要因も関与すると考えられています。
症状は初期には乏しく、進行すると咳、血痰、胸痛、体重減少、息切れなどが現れます。定期的な健康診断やCT検査によって早期に発見することが極めて重要です。
診断にはCT、PET検査、気管支鏡検査などを用い、病理組織検査で確定診断を行います。治療は病期やがんの種類によって異なり、手術、放射線治療、抗がん薬治療(分子標的薬、免疫チェックポイント阻害薬を含む)が行われます。
当院では、最新の治療指針に基づき、専門機関とも連携して最適な治療方針をご提案しています。
自然気胸は、肺の表面にできた小さな穴(ブラやブレブと呼ばれる部分)が破れて、肺から胸腔に空気が漏れ、肺がしぼんでしまう病気です。若い痩せ型の男性に多い一方で、高齢者や肺疾患を持つ方にも起こります。
症状は突然の胸痛や息苦しさで、多くは片側の肺に生じます。軽症の場合は自然に治ることもありますが、進行すると呼吸困難が強くなり、命に関わる「緊張性気胸」に至ることもあるため注意が必要です。
治療は、安静のみで経過観察する場合や、胸腔ドレナージ(胸に管を入れて空気を外に逃がす)を行う場合があります。再発予防のために手術で肺の脆弱部位を切除することもあります。
気管支拡張症は、気管支の一部が慢性的に広がり、そこに痰がたまりやすくなる病気です。原因は繰り返す感染症や肺炎の後遺症、先天的な異常などさまざまです。
症状としては、長引く咳、大量の痰、血痰、息切れがみられます。痰がたまることで細菌感染を繰り返し、症状が悪化していく悪循環に陥りやすいのが特徴です。
診断は胸部CTで拡張した気管支の形を確認することで行います。治療は排痰を促す理学療法(呼吸リハビリ)、感染時の抗菌薬、炎症を抑える吸入治療などが中心です。症状が強い場合には長期的な抗菌薬内服を行うこともあります。
生活の質を大きく損なう病気ですが、定期的な治療により症状を和らげ、感染の繰り返しを防ぐことができます。
呼吸器内科で診療する病気は多岐にわたり、それぞれ症状や治療法が大きく異なります。咳や痰、息切れといった症状が続く場合は自己判断せず、早めに専門医を受診することが大切です。当院では、患者さん一人ひとりの病状に合わせた最適な検査と治療を行い、安心して日常生活を送れるようお手伝いいたします。
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