非結核性抗酸菌症
非結核性抗酸菌症

非結核性抗酸菌症(ひけっかくせいこうさんきんしょう:NTM症)は、結核菌やハンセン病菌を除いた「非結核性抗酸菌」と呼ばれる細菌が原因で起こる慢性の肺感染症です。水や土壌など自然界に広く存在する菌で、人から人にうつることはほとんどありませんが、近年日本でも患者数が増加しています。特に中高年の女性に多いことが知られています。
「抗酸菌」というグループには、結核菌やハンセン病菌が含まれますが、それ以外にも150種類以上の菌が存在します。その中で、ヒトに病気を起こすことがあるものを総称して「非結核性抗酸菌」と呼びます。
菌は自然界の水や土、ほこりの中に存在しており、私たちは日常的に吸い込んでいます。しかし、ほとんどの人は発症しません。
発症に関わる要因としては、
といった条件があります。人から人への感染は基本的にありません。
症状はゆっくり進行することが多く、初期は「風邪や気管支炎が長引いている」と思われることもあります。
代表的な症状は以下の通りです。
特に痰が長引く場合には注意が必要です。
診断にはいくつかの検査を組み合わせます。
治療は菌の種類や進行の程度によって異なります。
非結核性抗酸菌症は、治療をしても菌が完全に消えるのが難しく、「抑え込む」ことを目標にします。長期間の服薬が必要で、副作用への注意も欠かせません。
また、一度症状が落ち着いても再発することがあります。そのため、長期的に通院して経過をみることが非常に重要です。
日常生活の工夫も治療の一環です。
人にうつす心配はほとんどありませんが、同じ病気の方同士で菌を共有する可能性は指摘されているため、患者会などでは咳エチケットを守ることが推奨されています。
症状や画像所見が結核に似ているため、「結核ではないか」と心配される方も多いです。しかし、非結核性抗酸菌症は人にうつらず、治療法も異なります。
診断を正確に行うためには、呼吸器内科での精密検査が欠かせません。
非結核性抗酸菌症は、自然界に存在する菌によって起こる慢性の肺感染症です。人から人にはうつりませんが、長期間にわたって咳や痰が続く病気であり、進行すると肺の機能を大きく損ないます。治療は長期にわたり、完治が難しいこともありますが、定期的な通院と生活習慣の工夫により、症状を抑え、生活の質を維持することが可能です。
当院では、患者さん一人ひとりの症状や菌の種類に合わせた治療法をご提案いたします。慢性的な咳や痰でお悩みの方は、早めにご相談ください。
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