高血圧
高血圧

当院では高血圧の治療も積極的に行っています。高血圧は自覚症状がほとんどないため「サイレントキラー」と呼ばれることもありますが、放置すると心臓や脳、腎臓などさまざまな臓器に影響を及ぼす危険性があります。
高血圧の基準は診察室で140/90mmHg未満、自宅血圧で135/85mmHg未満です(高血圧治療ガイドライン)。自宅での血圧測定は「起床後1時間以内に排尿後・朝食前に複数回測定」し、その平均を取ることが望ましいとされています。高血圧を治療する1番の目的は狭心症や心筋梗塞などの心臓疾患、脳梗塞などの脳血管障害、動脈瘤や動脈解離などの大血管疾患、慢性腎臓病などの腎臓疾患を予防することにあります。2012年に報告された日本人のデータでは120/80mmHgを超えて血圧が上昇するほど脳や心臓の血管病による死亡リスクが増加すると報告されています(EPOCH JAPAN. Fujiyoshi A, et al. Hypertens Res. 35(9): 947-53, 2012)。また別の研究では血圧を120mmHg未満にすることで140mmHg以上の人よりも血圧に関連する病気の発症や死亡率を25%程減らすことができたと報告されています (SPRINT study. N Engl J Med; 373(22): 2103-16, 2015)。以上のことを考慮すると診察室での血圧を可能な限り130/80mmHg未満にすることが望ましいと言えます。以前は75歳以上の方は必ずしも血圧を130/80未満にする必要はないと考えられていましたが、最新のガイドラインでは年齢に関係なく血圧は130/80未満にするのが良いとされています。ただし、血圧を下げ過ぎることによるふらつきなどの副作用が出る人は140/90mmHg未満を目標にします。

(EPOCH JAPAN study)
高血圧と診断された場合にどのような検査や治療が行われるのでしょうか?まず、高血圧には遺伝的背景や生活習慣が原因とされる本態性高血圧(85%)と、他の疾患や薬剤の副作用などが原因で起こる2次性高血圧があります。高血圧と診断された場合、1度は2次性高血圧の可能性について調べることをお勧めします。2次性高血圧の原因は下の表にあるような病気があり、原因としては睡眠時無呼吸症候群が最多で、複数の降圧剤を使用してもなかなか下がらない人(治療抵抗性高血圧)は特に疑われます。その他の疾患については採血でホルモンの値を調べることでこれらの疾患が関与していないか調べることができます。

高血圧の治療では、薬による治療だけでなく、毎日の生活習慣の見直しがとても大切です。その中でも食事は血圧に大きく関わっており、工夫次第で無理なく改善していくことができます。
食事療法で減量できれば血圧は下がりやすくなります。BMIが25以上の方は、食事と運動を組み合わせて無理のない減量を目指しましょう。
当院では管理栄養士によるオンラインでの個別の栄養指導を行っており、血液検査の結果や生活習慣に合わせた最適な食事プランをご提案しています。食生活の改善は数値を整えるだけでなく、将来の動脈硬化や心筋梗塞などのリスクを減らすことにもつながります。高血圧に対する食事療法をご希望の方、食生活の見直しをしたい方、ぜひ一度ご相談ください。
高血圧の予防や治療には、ウォーキングや速歩などの有酸素運動が効果的とされています。目安は「ややきつい」と感じる程度の強さで、1回10分以上の運動を合計して1日30分以上、できれば毎日続けることが望ましいとされています。定期的に運動を行うことで血管の働きが改善し、血圧を下げる効果が得られます。実際に、週に数回の有酸素運動を10週間続けると、収縮期血圧が10mmHg前後下がるという報告もあります (荒川規矩男. 日本臨牀 58 ; 366-371, 2000)。
おすすめの運動はウォーキング、速歩、サイクリング、水中運動や水泳などの有酸素運動ですが、運動はすべての高血圧患者さんに安全というわけではありません。重度の高血圧や心臓病のある方は、まず血圧をコントロールしてから始める必要があります。運動を始める前に医師によるチェックを受け、自分に合った運動の種類や強さを確認することが大切です。
食事や運動療法では血圧が低下しない人は薬で治療することになります。高血圧に対して使われる薬(降圧剤)は❶カルシウム拮抗薬・❷ARB/ACEI(アンジオテンシンⅡ受容体拮抗薬/アンジオテンシン変換酵素阻害薬)・❸サイアザイド系などの利尿薬・❹β遮断薬・❺MRA拮抗薬の大きく5種類あります。当院ではガイドラインに沿って以下のような選択で治療にあたっています。

当院では、高血圧の原因や生活習慣をしっかり確認したうえで、一人ひとりに合った治療を行っています。血圧測定や血液検査の結果を踏まえ、生活改善のアドバイスから薬物療法まで継続的にサポートいたします。
このような方はぜひ一度ご相談ください
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