糖尿病

当院では、糖尿病に対する診療も積極的に行っております。糖尿病は初期には自覚症状がほとんどありませんが、放置すると網膜症（視力低下・失明）、腎症（腎不全～透析）、神経障害（手足のしびれなど）といった「三大合併症」に加え、心筋梗塞や脳卒中など重大な病気を引き起こすリスクがあります。そのため早期発見と適切な治療がとても大切になります。

糖尿病とは

糖尿病は、血液中のブドウ糖（血糖）が慢性的に高くなる病気です。本来、食事でとった糖分は「インスリン」というホルモンの働きによってエネルギーとして体内に取り込まれます。しかしインスリンの量が不足したり、インスリンの効き目が悪くなったりして血糖を上手に細胞に取り込むことができなくなり、血液中に糖があふれてしまう状態になります。これが糖尿病です。

糖尿病の症状

初期には症状が出ないことが多いですが、血糖値がかなり高くなると、喉の渇き、多尿/頻尿、体重減少、疲れやすさ、皮膚の感想、手足のしびれ、視力低下などが現れます。こうした症状に気づいた場合は早めに受診しましょう。

糖尿病の種類

糖尿病には大きく分けて以下の2つのタイプがあります

その他、妊娠中に起こる妊娠糖尿病や膵疾患、ホルモン異常、薬剤(ステロイドなど)による糖尿病もあります。

糖尿病の合併症

糖尿病の代表的な合併症には以下のものが挙げられます。

2型糖尿病の治療　～当院の治療方針～

当院では病初期の段階では患者さんが自分の力で血糖値を管理できるよう食事療法を行い、生活習慣を整えることを重視します。その後、糖尿病の改善の状態に応じて主に内服薬による治療を併用し、血糖値のコントロールを行っていきます。

食事療法

糖尿病治療の基本は食事療法です。特定の食品を避けるというよりも「量とバランス」を考えて血糖値の急な上昇を防ぐことが大切です。

栄養指導・治療は当院にご相談ください

当院では、管理栄養士によるオンラインでの個別の栄養指導を行っており、血液検査の結果や生活習慣に合わせた最適な食事プランをご提案しています。食生活の改善は、数値を整えるだけでなく、将来の動脈硬化や心筋梗塞などのリスクを減らすことにもつながります。糖尿病に対する食事療法をご希望の方、食生活の見直しをしたい方は、ぜひ一度ご相談ください。

運動療法

糖尿病治療において、食事療法と並んで大切なのが運動療法です。運動を習慣にすることで血糖値の改善だけでなく、合併症の予防や体力維持にもつながります。
運動をすると筋肉でブドウ糖の利用が進み、血糖値が下がりやすくなります。また、インスリンの働きがよくなり（インスリン抵抗性の改善）、少ないインスリンでも血糖が下がりやすくなる効果があります。さらに中性脂肪を減らし、善玉コレステロールを増やすなど、脂質代謝にも良い影響を与えます。
おすすめの運動はウォーキング、軽いジョギング、自転車、水泳などの有酸素運動です。息が少し弾むくらいの強さで、1日合計30分以上を目標に体を動かしましょう。30分続けるのが難しい場合は、10分ずつ分けても構いません。週に3回以上行うとより効果的です。日常生活の中で、エレベーターではなく階段を使う、一駅分歩く、掃除や庭仕事を積極的に行うなどの工夫も運動効果につながります。

薬物療法

生活習慣の改善だけで血糖値が安定しない場合は薬による治療を行います。当院ではできるだけ注射薬を避け、飲み薬を中心に治療する方針としていますが、注射製剤が必要な場合はなるべく回数を少なくし患者さんの負担を減らします。

糖尿病治療の最大の目的は合併症を防ぐことです。HgA1cが7.0%未満であれば網膜症や腎症の発症が有意に低下するため(Ohkubo Y et al. Diabetes Res Clin Pract; 28:103-117, 1995)、当院ではHbA1c 7.0％未満を目標にし、認知症のリスクでもある低血糖発作をできるだけ避けながら安全に血糖コントロールを行います(高齢者糖尿病診療ガイドライン2017)。

（糖尿病診療ガイドライン 2024より）

当院で使用する代表的な薬剤と効能効果

まとめ

当院では、患者さん1人ひとりの生活習慣や体質に応じて治療しています。血液検査や尿検査の結果をもとに、生活改善のアドバイスから薬物療法まで一貫してサポートいたします。

このような方はぜひ一度ご相談ください

• 健診で血糖やHgbA1c高値を指摘された方
• 初期の糖尿病と診断され、生活習慣の改善から始めたい方
• 治療の負担をできるだけ減らしたい方
• 血糖値のコントロールとあわせて体重管理も目指したい方