舌下免疫療法について

舌下免疫療法とは、アレルギー性鼻炎（花粉症）やダニアレルギーなどの原因アレルゲンを少量ずつ体内に取り入れ、体の免疫反応を徐々に慣れさせる治療法です。従来の注射による免疫療法（皮下免疫療法）とは異なり、自宅で舌の下にアレルゲンを投与する方法で、安全かつ負担の少ない治療として注目されています。
舌下免疫療法は、アレルギーの根本的な改善を目指す治療であり、症状の軽減だけでなく、将来的な花粉症やアレルギー性鼻炎の発症抑制にも期待できます。

適応となる方

舌下免疫療法は、以下のような方に適しています。

• スギ花粉やダニが原因のアレルギー性鼻炎がある
• 薬物療法だけでは症状が十分にコントロールできない
• 長期的にアレルギー症状を根本的に改善したい
• 注射による通院が困難で、自宅で治療を行いたい

一方、重度の喘息や心臓病などの持病がある場合は、治療が適さないことがあります。治療を開始する前には医師による適応評価が必要です。

治療の流れ

舌下免疫療法は、通常次のような流れで行われます。

治療の効果

舌下免疫療法の効果には以下の特徴があります。

• 症状の軽減：くしゃみ、鼻水、鼻づまり、目のかゆみなどが緩和されます
• 薬の使用量減少：抗ヒスタミン薬や点鼻薬の使用が減少することがあります
• 長期的な効果：治療を続けることで、治療終了後も症状が軽くなることがあります
• アレルギーの進行抑制：将来的に喘息や他のアレルギー疾患に進行するリスクを下げる可能性があります

注意点・副作用

舌下免疫療法は比較的安全ですが、次のような注意点があります。

主な副作用

• 口や舌のかゆみ、腫れ
• 口内の違和感
• 軽い喉の刺激感

多くは数分～数時間で軽快し、通常は治療を続けながら軽減されます。

稀な重篤な副作用

• アナフィラキシー（まれ）
  重篤なアレルギー反応が起きた場合は、すぐに医療機関で対応する必要があります。
  初回投与時や新しい剤量への変更時には特に注意が必要です。

治療の中止・医師への相談が必要な場合

• 顔や唇の腫れ、呼吸困難、全身のかゆみなどの症状が出た場合
• 高熱や感染症の際
• その他体調不良が続く場合

生活上の注意点について

舌下免疫療法中は、以下の点に注意すると安全に治療を継続できます。

• 投与直後の激しい運動や入浴は避ける
• 投与後、数分間は飲食を控える
• 副作用がある場合は、すぐに医療機関に相談する
• 定期的な受診を守ることで、安全性と効果を高める

他の治療との併用

舌下免疫療法は、既存の薬物療法と併用して症状をコントロールすることが可能です。

• 抗ヒスタミン薬や点鼻薬で症状を緩和しながら、根本的改善を目指す
• 治療効果が現れるまでの数週間～数か月間は、薬物療法で症状管理を行うことが多い

これにより、生活の質を落とさずにアレルギーの体質改善が期待できます。

舌下免疫療法のメリット

• 自宅で行えるため通院の負担が少ない
• 注射に比べて痛みや不安が少ない
• 長期的に症状の根本改善が期待できる
• 花粉症やダニアレルギーの再発リスクを低減できる

まとめ

舌下免疫療法は、アレルギー性鼻炎や花粉症の根本改善を目指す治療法として、近年注目されています。適応や安全性を医師と確認したうえで継続することで、症状の軽減や薬物使用量の減少、将来的なアレルギー進行の抑制が期待できます。

• 原因アレルゲンを特定して適切に治療を開始する
• 自宅で毎日投与し、定期的に医療機関で評価を受ける
• 副作用や体調変化に注意しながら継続する

当院の外来では、舌下免疫療法の適応評価や指導、フォローアップまで一貫してサポートしています。花粉症やダニアレルギーでお困りの方は、ぜひご相談ください。